WAKANA IKEDA

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news - 2020.3

3月の日記

PANICSMILEが2月5日にリリースしたニューアルバム『REAL LIFE』にフルートで参加しました。THE RATELでレコ発イベントにも呼んでいただいています。ホーンは二宮さんが東京で録音してくださり、フレーズも二宮さんが書いてくださったものを私は演奏しています。

A

自分の考え方ひとつで、世界は変わる。自らでかけた呪いをといていこう。という自己啓発キャンペーンは限界だ。自分の思考を柔軟にすることで、かなりしんどい世の中ではあるけれども、東京で生きていくことに楽しみを感じられるかもと思っていたのだけれども、もう無理かもしれない。
どのようなことに楽しみを感じるかは人により異なるので、生活に求めるものも異なると思う。生活できる人もいると思うし、それはうらやましくもあるけれど、自分が大切にしたいと思うことが、もう日本ではかなわないのではないかと不安に感じてる。石をまたぐか避けるなりして、うまくかわせばいいのだろうけれども、自分はその石の多さに途方もない気持ちになって立ち尽くしてしまうか、石を細部まで観察してしまい時間を無駄にして気持ちをえぐってしまっている。考えないようにすればいいんだろうか。
友人とこのような話をすると、不安を一旦据え置いて頑張ろうお互い、みたいな話になるのだけれども、それにも限界を感じる。その時は気持ちが晴れるけれど、その場しのぎだ。
今日より明日がよい日になるだろうと願っているが、願いは絶対にかなわない。そうなってくると、時間の経過が苦痛でならない。以前は聴くのに数時間かかる作品を楽しむのが好きだった。しかしもう、時間が経過した後の世界のことを考えると苦しくなる。
苦痛から逃れるには情報を遮断して、限られた人間関係のみに限定し、半径一メートル程度の快適な空間を作り出すしかない。それは自分の思考回路をより狭く貧しいものにするだろう。それを私は全く望んでいない。
いま色々なことを、具体的に、広い視野を持って、想像力を働かせて思考できなくなってしまっているのを自分に感じていて、すごく悔しい。とにかくこの状況から脱しないとまずい。何もできなくなりそうだ。

B

何かに対して怒りを感じること、憤りを感じることはすごく大事で貴重だ。そこには生き方に対するこだわりがある。こだわりがなかったら、怒りも湧いてこない。友人と好きな物や苦手な物について話をするのが好きだが、それはその人のこだわりを知れるからで、どうでもいいと思っていることの話なんて、つまらないのでしたくない。だけど、くだらない話は沢山したい。
私はだれかと話がしたいし、もっとだれか、なにかのことが知りたい。だから芸術を鑑賞するし、人と話すのが好きだ。
PANICSMILE の吉田さんとメールをしていて、とにかく今の状況に憤りを感じるという話をした。希望のある話が全く出てこない。PANICSMILEの新譜に参加させていただいたこともあり盤についての文章と書こうと年始に意気込んでいたのだけれどAのようなことを考えていたら、時間がツラツラと経過してしまっていた。そしたらどんどん事態が悪くなっていく。年末には想定できなかったくらい、もっと今は楽しくない世の中だ。辛い世の中だけれど、音楽を聴いている時間だけは救われるから音楽が好きだという考えには、私は全面的な同意はできない。音楽は心を豊かにできるけれども。
PANICSMILEの新譜は、なんというかひたすら現実的な世界が描かれていて絶望的な嘆きと怒りが聞こえてくるのだけれども、音自体はカラッとしてるしテンションも飄々としてる。どこから着手したらこんな曲になるのかわからないけれど、いくつかのインタビューなど読んだらなるほどなと思った。(WISHKAHが最も面白かった)人を団結させるようなコマーシャルな言葉もないけど、自分にとってはこっちのほうが救いがある。音楽は何かに耳をふさぎ、フィルターをかけて、都合の悪いものを見えないようにするマジックではなく、もっとさまざまなことを考えるきっかけになる、思考を広げてくれるものであってほしい。わからない、とときに思わせてくれるものであってほしい。見たくない石に装飾を施して心地よくその場しのぎできるような芸術商品には、興味が持てない。実際のところ、あらゆる作品について言えることですが、音楽を聴いただけでは、実際なにもかわらない。(音源を買うとアーティストが潤って助かるとかそういう文脈の話ではない)音楽と社会のつながりを考えると、聴いて、考えて、行動にあらわれて、はじめて変わる可能性が生まれる。そして、音楽は社会を変えるために生まれているものではない。

C

音楽をつくるのは、その人自身だ。
アルバムの感想の延長としてコンテクストと手法のつながりについて的な話をしたことも記憶しているけれども、いろいろなことが交錯してしまって、そのときなんでそれを伝えようと思ったのか、文脈が思い出せない。おそらく、なんでこういう表現をやってるのかって、そのアイディアの核になってる部分にすぐに到着できないような、そこにイメージをふくらませることができるものが好きだということを話したかったのかもしれないし、もっと他にも理由はあった気がする。

D

PANICSMILEの新譜のレコ発は4/3に渋谷7thFloorで行われる予定。アルバムの話というよりも、それを絡ませた私の最近の考え事的な内容になってしまい、ここに書いてある大半は個人の見解なのでPANICSMILE及び作品の内容の正誤とは関係ありません。アルバムについては聴いて頂けるのが知るのに一番よいのは明白です。既に店頭にも並んでいます。レコ発でもお買い求めいただけると思います。私は一曲だけ参加しました。よろしくお願い致します。

E

もう今は願うだけでは何も解決しない世の中だ。